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『大人の発達障がい・入門』①

今日は、発達障がいの話なんですが、私は、決してその道の専門という訳ではないので、発達障がいだけをやっている訳ではありません。料理人に例えるなら、日本食にもいろんな分野があります。日本食の職人も多種あります。例えるなら私は、蕎麦屋かなと。麺も打ちますが、天ぷらも揚げます、煮物も作ります、丼ぶりものも作ります。で、今日の発達障がいの話は、天ぷらの話なんです。私は、天ぷら専門の職人ではありません。私は、いろんな患者さんを日ごろの日常の中で診ています。その中で発達障がいの方も来られています。専門的に「発達障がいを診ます」という先生もいらっしゃいますが、いかんせん数が少ない。でも、困っていらっしゃる方はおられますので、「専門です」というところに患者さんが集中し、予約が数か月待ちとかいう状態になっています。私は、本当の専門というわけではありませんが、発達障がいを診ない訳ではないので、私が関わってきた方々との経験をお話します。発達障がいって、一括りではありません。「発達障がい」といわれる中でいろんな違いがありますが、そんな違いがある事を知っていただければと思います。

発達障がいの現状

発達障がいに関して、今どんな事が起こっているのかと言いますと、発達障がいブームが来ていると呼べそうな状況です。臨床現場でもそうですが、本当にこの数年は、発達障がいという言葉がよく聞かれるようになりました。マスコミもさかんに扱うようになり、日常用語になっていると言えそうなくらいです。

それには、功罪両方の面があります。マスコミがいっぱい言ってくれて、世間一般に発達障がいというものが知られるというのは決して悪いことではないのですが、一方では誤解もあり、ネットの情報なんかを見ると「これはマズいな。心配だな。」というようなこともしばしば目にします。ただ、誤解というのは、発達障がいだけに限らないですね。精神障がい全般にも相当な誤解がありますので、その中のレベルかなとも思いますが、発達障がいというものが知られるようになって、周りに理解してもらえてよかったと言われる当事者の方もおられるし、全然違う理解をされて、ひどい目にあって、冷たくされたという体験の人もおられます。その辺が課題なんだろうなと思うところです。

それから一番大きな課題は、支援が十分でない事です。今日、私がこうやってお話しをします。今日おいでの方の中には、支援者という立場の方、発達障がいの当事者だという方、また、ご家族という方、職場の同僚にひょっとしたら、と思って来られた方もいらっしゃると思います。残念ながら個別に「〇〇だから、どうしたらいいんですか?」と言われ「はい、こうしてください」と言えるような決まったものはありません。

かなり、あの手この手を使っていかなきゃいけないというのは、共通しているのですが、教育現場での支援にも、医療の場での支援にもそれぞれ課題があります。学校での支援について言えば、大人に比べて今は、発達障がいのお子さんへの支援が随分と整備されてきています。学校の先生方も、いろんな研修を受けておられて発達障がいの事は、ある程度理解が進み、教室に何人がいても驚かないようになってきて「発達障がい?それは何ですか?」という時代ではなくなりました。
しかし、医療現場ではどうかというと、精神科医療以外の領域での医療との接点はまだ十分ではないと思いますし、福祉という問題でも、これは後でもお話ししますが、上手くいっていないところもあります。

発達障がいを持っておられる方々が、普通に職場におられるんですよね。仕事をしておられる方は、たくさんいらっしゃいます。そこで、課題が出てきた時に職場の方にどう解ってもらうかがとっても大変なんです。じゃあ、どうしたらいいかというのを、いろんなところに持ち込まれるんですが、なかなかクリアに、そこで全部相談を受けきれるところがありません。今日ここにおいでいただいた皆さんが「なるほど」と思っていただくことがあって、少し理解が深まっていくとすれば、支援が広まっていく第一歩になるのかもしれません。

今、当事者の方々がいっぱい活躍されています。当事者の方のネットワークは、草の根的な事もあるし、結構中央に集まって頑張ってる人達のグループもあります。
これも、精神障がいを持つ人達全般に言えるのですが、当事者には本当に力があります。言い換えれば、医療が過保護過ぎた時代が長かったけれども、本当は、当事者の方達は力を持っているのです。その人達の力が、だんだん認められてきており、同じように発達障がいを持つ人たちも活躍しています。

後にもご紹介しますが、カミングアウトしている有名人は、たくさんいます。そのように自身の精神障がいについてカミングアウトしている方はまだそんなに多くありません。本当はたくさんおられるのですが、そんな方達の活躍が今後楽しみです。

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